時事旬報社

時事問題を合理的な角度から追って行きます

社会部デスク

コロナ時代のベーシックインカム:科学的社会主義と空想的社会主義

1988年の年末、時代が昭和から平成へと代わる一月ほど前の話である。記者は当時、都内の某経済学部大学院に通っていたのだが、ロシア経済学の専門家二人の立ち話を今でも覚えている。 二人の話題は、 小室直樹氏の著作「ソビエト帝国の崩壊」であった。「す…

特別定額給付金(コロナ給付金)とベーシックインカム

特別定額給付金(コロナ給付金)の申請がはじまった。漏れ伝わるところでは、公明党が連立解消をチラつかせ、官邸と財務省の重い腰を引っ張り上げ、全国一律一人10万円の給付を実現した、という。 パンデミックという不測の大災害が前代未聞の財政出動をも…

感染率、陽性率、死亡率、抗体保有者率:新型コロナウィルス蔓延の実情を読み解く指標は?

政府は4日、対象地域を全国としたまま、今月31日まで緊急事態宣言を延長することを決定した。全国緊急事態宣言発令より3週間、そろそろ外出自粛の効果が数字となって現れるはずなのであるが、ここ最近、その「数字」に関し様々な議論が沸き起こっている。 …

国民全員に新型コロナウィルス抗体検査の実施を求める(保留):付記

ワクチンも特効薬もない現状で、新型コロナウィルス拡大を回避する有効策は「感染しない」であり、そのためには「感染者(感染場所)には近づかない」が鉄則となる。 政府が発令した緊急事態宣言も「外部との接触を断ち、家に籠れ」を骨子とする。しかしその…

令和としての新年を迎えて

アメリカが参戦した戦争は建国以来数百を数えるが、議会の承認を経たものは数少ない。ベトナム戦争を始め多くの戦争が大統領の個人的権限で始まった。太平洋戦争は、その中の少ない例外である。日本と同時にドイツとも開戦しているので、正確にはアメリカの…

ベーシックインカム:日本が天国となる日(7)

ベーシックインカム 本日(4日)、参院選挙が公示されました。各党の選挙公約も揃いましたが、どこを探してもベーシックインカムの文字はありません。どうや各党、ベーシックインカムは忘れてしまったようです。 すでに記憶も褪せたと思いますが、二年前の衆議…

老齢介護と向き合う(3)

施設介護の完全機械化 おそらく「家族に見守られ家庭で最期を迎える」が理想的な人生でしょう。しかし介護者に過酷な労苦を強いる老齢介護が長引くとなれば、第三者の手助けが必要です。次策として訪問ヘルパーも考えられますが、24時間365日、ヘルパーに任…

老齢介護と向き合う(2)

人間の尊厳 記者が経験した介護から考えると排泄介助ほど負荷が大きいものはないと思います。肉体的に大変であるというだけではなく、精神的にも辛い役目です。留意したいのは身内や介護施設の職員などの介助者だけではなく、介護してもらう本人にとっても排…

老齢介護と向き合う(1)

介護という聖職 今月(2月)3日、岐阜県の老人施設に勤務する33歳の介護職員が逮捕されました。入所していた91歳の女性に暴行し、肋骨を折る大怪我を負わした(その後死亡)との容疑です。この施設では、80代から90代の男女5人が一昨年から相次いで死亡や大…

心に残る昭和の名画とドラマ

「これまでの人生で最も感動した映画とドラマは何か」、この質問に即答できる人は少ないでしょう。名画や名作と呼ばれる映画、ドラマは無数にあります。とても一つに絞れるものではありません。ところが記者の場合、「アレとコレ」と断言できる一作がありま…

立憲主義と統治行為:法律の話(3)

砂川事件 沖縄普天間移設問題は解決の目処が立ちません。素人の私などは、米軍は沖縄本島の約15%にも及ぶ広大な領域を保有しているのですから、沖縄住民が居住する隣接地を避け、人里離れた米軍保有原野の真ん中に移設すればトラブルも少なかったのでは、な…

刑法と浪花節:法律の話(2)

非日常「文章」 前回の民法に続いて、今回は刑法についてチョッと触れておきたいと思います。本題に入る前に下の文書を見てください。これはある刑事事件について、最高裁判所が下した判決文の一部です。文章を読む必要はありませんが、「原判決の確定した、…

民法と資本主義:法律の話(1)

200年続く法律 朝起きて、会社や学校に行くまでに私達は既に何十という法律(契約)行為を行なっています。NHKのニュースを見るのはNHK受信契約によりますし、電気もガスも契約。電車に乗るのもコンビニで朝食のパンを買うのも全て契約に基づく法律行為を行…

平成の世相

セントラルリーグの優勝チームが決まると「今年も終盤」を感ずる。来年には年号が変わるので「平成も終盤」ということになる。日本にとって平成の30年間とはどんな時代であっただろうか。学術的な平成の位置づけについては専門家に任すとして、平成に暮らし…

ベーシックインカム:日本が天国となる日(6)

業火の火種 確か天声人語だったと思うのですが、タリバンに爆破されたバーミアンの石窟大仏を痛むコラムが掲載されました。筆者は破壊された大仏を擬人化し、爆破される自らの境遇を描いたのですが、貴重な古代遺産がこのような形で消滅することを嘆きながら…

ベーシックインカム:日本が天国となる日(5)

ベーシックインカム社会で暮らす、とは 「日本国民である」との資格だけで誰もが、自動的に生活費の最低額(12万円)が支給される社会で人々はどのように暮らすのでしょうか。仮に12万円をもらったとしても半分が税金として徴収されるなどというのでは意味が…

ベーシックインカム:日本が天国となる日(4)

日本人が世界の手本に 隣の半島情勢デスクでは、状況の激変に今後が読めず大混乱です。北朝鮮問題の成り行きは社会部としても他人事ではないのですが、コチラではもう少し日本社会の中長期的展望を追ってみましょう。ベーシックインカム実現の話です。 スイ…

ベーシックインカム:日本が天国となる日(3)

前号(3月2日)で大雑把に計算したように、国民全員に無条件で月12万円を支給するというベーシックインカムが、いかに突拍子もない話であるかは明白です。プライマリーバランスなど財政収支を考えれば、議論の余地もないようにも思えます。しかしなぜベー…

財務省データ改ざん問題

森友学園と加計学園:官僚忖度の無情 本日、財務省が森友文章の書き換えを認めた。「文書は破棄した」の主張を撤回、その上で国会に提出した文章が改ざんされていたのだから、財務省としては度重なる失態である。しかし何故このようなことがおきたのであろう…

ベーシックインカム:日本が天国となる日(2)

財源をどうするか 前号で触れたスイスのベーシックインカム国民投票ですが、結局反対多数(77%)で否決されたとはいえ、無条件で全国民に毎月28万円を支給するという前古未曾有の試みでした。スイス政府がその財源をどう工面する予定であったのかについては不…

ベーシックインカム:日本が天国となる日(1)

日本国憲法第25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあります。戦後、立憲主義(Constitutionalism)を導入した日本では、憲法とは国民が政府を統治するために定めた最高法規であり、「国民が国家権力を縛る」ために…