時事旬報社

時事問題を合理的な角度から追って行きます

GSOMIA破棄の底辺:韓国「慰安婦問題」の不都合な現代恥史

韓国市民の偏執

 

 大方の予想を覆し韓国がGSOMIA(日韓軍事情報保護協定)破棄を発表しました。韓国大統領府報道官は、「日本が貿易管理上の優遇対象国から韓国を除外したことが理由だ」とし、その結果、「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」と非難しました。

 GSOMIA破棄は韓国世論の過半も支持していることから、反日を先導する大統領の個人プレーというよりは、国民大半の奧底には「日本への偏執」がへばりついているからと考えるべきでしょう。大統領といえども、世論を斟酌しないわけにはゆきません。

 隣国の市民意識としては、北朝鮮という差し迫った現実的脅威に対する防衛体制を崩してでも、歴史問題から百出する日本への宿怨を晴らすほうが、優先されると考えたのだとも思えます。

 

 しかし韓国民の偏執には明らかな事実誤認も含まれます。例えば「日帝の植民地支配最大の被害国はどこか」と尋ねれば、「それは韓国だ」と韓国人であれば誰もが即答するでしょうが、正解ではありません。単純に植民地としての期間だけを比較すれば、台湾は韓国よりも5年長い40年の支配を受けたのです。「日帝36年」は韓国現代暗黒史のキーワードとなっていますが、韓国併合(1910年)から敗戦(1945年)迄は35年で、そもそもキーワードからしてすでに過分です。勿論、台湾と比べ、殊更韓国だけに過酷で極悪な植民地支配を強いたかといえば、そんな史実もありません。

  

 戦後最悪とされる日韓関係ですが、付きず離れず揺れながらも大局的には未来志向へと歩みを続けてきた二国関係がここまで  「ドン底」へと退行した深淵は、日本軍による従軍慰安婦問題が「こじれた」ことに起因するといっても差し支えないと思います。

 

 徴用工問題にしても、(韓国側の見立てとしては)慰安婦問題の「成功事例」が誘発したともいえます。「国内裁判所による判決を得、運動の正当性を確保する」、「大義を顕在化させるためにシンボル像を製作、その拡散を通じて人心をかき寄せる」といった施策は、慰安婦の手法を踏襲しています。

 

 韓国市民の心理としては、慰安婦問題によって日帝は「絶対悪である」が確立したともいえます。市民感情に性奴隷を強要した日本の本質には、獣的残忍性が宿っていると半田付けされました。日本による植民地問題は全て獣的残忍性という色眼鏡を通して整理されることとなったのです。

 

 無論、植民地時代の日本の行為に問題がなかったわけではないでしょう。しかし「日本への確執を韓国の納得する形で解決できるのか」となると少々悲観的にならざるを得ません。これまで政治的な決着が幾度となく試みられ、時には実行されたのですが、それが悉く反故にされると、壊れたレコードを永遠に聞かされるようなストレスを感じます。

 

 国家間の問題を戦争以外で解決するためには、二国間で政治合意する他無く、形式的には条約や協定などの法的決着を図ることになります。しかし法律は、「真理を解明する」ために存在するのではなく、「紛争を解決する」ために存在するのです。一旦「これで解決する」と決めたからには、商業契約と同様遵守されねばなりません。この道理が分らなければ、あらゆる条約、協定は無意味です。

 

 さて、日韓関係の重しとなっている慰安婦問題ですが、その発端は1982年いわゆる朝日新聞誤報記事からはじまります。本格的な二国間問題へと発展するのは1992年、再度の朝日新聞誤報記事以降の話です。奇怪と写るかもしれませんが、それ以前は、日本も韓国も慰安婦をほとんど問題視していませんでした。

 

春天

 

 慰安婦外交問題とならなかった理由には幾つかの要素があるでしょうが、この問題が持ち上がった時、当時を知る多くが違和感を感じたものです。違和感というより、「この話は表に出したくない、封印しておきたい」といったバツの悪さに近い複雑な心境です。

 

 バツの悪さは、日本人だけではなく、韓国人にもありました。韓国は言わずと知れた巨大な売春国家だったからです。国家が管理する公娼制度を整備していました。今では、女を売っていた韓国にも、女を買っていた日本にも不都合であるがゆえに当時を語ることが憚れます。

 

 しかし韓国に「バツの悪さ」が漂うのは、売春が国内産業として爛熟していた、つまり多くの韓国人が女郎屋に出入りしていた、あるいは日本人観光客が国家公認に励まされ渡韓を繰り返したという恥史だけではなく、当時、商談を有利にするために「夜の接待」が当たり前のように行なわれていたことに拠ります。

 

 外国との重要な商談に際しては、飲み食いの接待よりも「夜の接待」の方が、効果が倍増することは説明するまでもありません。「夜の接待」が病みつきとなったスケベな中小企業経営者が足蹴に韓国出張を繰り返し、挙げ句には現地妻まで囲うなどは、珍しいことではありませんでした。

 

 「夜の接待」はビジネスだけではありません。公的なミッション団や外交などでも広範に実施されていました。来韓したアフリカ某国の大統領をオモテナシした世話係が黒い子供を産んだなどの風聞も後を絶たちません。いわゆるハニートラップとは別の話です。夜の接待は、「銀座のクラブで接待する」と同類の領域にすぎないのです。

 

 今では信じられないでしょうが、多くの日本人韓国人が当時は、慰安婦問題に触発されて、自分達の現実的な恥部が表沙汰となのはマズい、という心理に加え、彼女たちに対して「何を今さらカマトトぶって、、」との差別意識も交錯し、慰安婦には触れまいとの意識が漂っていたのです。

 

 事実、この当時在韓米軍相手の慰安婦がまだ存在し、遊女を送り込む置屋制度が機能していました。貧しかった韓国が外貨を獲得する有力産業が「夜の産業」であったといえば言い過ぎであるかもしれませんが、韓国当局も売春行為を奨励し、「もっと体を売りなさい。あなた方(慰安婦)はドルを得る愛国者だ」と賞賛されたなどの証言も残っています。

 

 このようなお国柄であったのですから、日本軍慰安婦問題が持ち上がった時、「置屋が出来たのは戦後の話ではあるまい。相手が日本軍であっても置屋が暗躍していたことは明白だ」と日本人も韓国人も直観したのです。

 

 当時、慰安婦といえば「米軍慰安婦」を意味していました。これは日本軍慰安婦を告発する立場としては不都合であり、「慰安婦(米軍)」と区別するために、「従軍慰安婦(日本軍)」なる新語を造語する必要がありました。更には従軍慰安婦は風俗(商売)ではなく、日本による性奴隷を強制する国家犯罪であらねばならなくなりました。

 

 ですが真実はどうであれ、かつては従軍慰安婦公娼制度の延長(出稼ぎ)とのイメージにリアリティがあり、日本にも韓国にもバツが悪い問題であったのです。

 

 過去を追憶するには、時代的な状況を切り離し、現在のコモンセンスから考えてはいけません。近現代、世界中で「売春」は違法行為ではありませんでした。1958年、売春防止法が施行されるまでは日本でも、江戸時代の遊郭から伝統を受け継ぐ娼妓制度が存続しました。文豪の大作にも遊女がここそこに登場します。それが韓国では2004年まで続いた、というに過ぎません。

 

 もし日本で現在でも公認遊郭が存在すれば、足繁く通う向きは少なくないでしょう。2004年以前、韓国の夜を「遊ぶ」には、それほどの気軽さがありました。

 

 非公認の地下置屋も無数に存在しました。深夜までソウルのあちらこちらを色取る理髪店サインポール(クルクル)が単に散髪するだけの店ではないことは公然の秘密ですし、繁華街は元より高級ホテルや飛行場であっても男連れの出張者を見つけるや、ポン引きが彼らの非公認商売に精を出していました。

 

 ソウルの一流デパートに買い物に行けば、客引きが言い寄り、「このデパートのどこの売り場でもいいから、お気に入りの店員がいれば、指名してくれ。夜にホテルの部屋まで派遣するから」と勧誘されるのがお決まりでした。勿論例え「指名」したとしても、本人とは異なる本職が登場するだけです。

 時には深夜、ホテルの自室を突然ノックされることもあります。ドアを明けるとその道の女性が立っているという、ホテルと結託した大胆な商売もありました。

 

 今ではファッションの街として知られる「梨泰院(イテウォン)」の語源は、当地に駐留した米軍との間に出生した混血児を収容する施設(異胎院)であるとの俗説が信じられていたほど性産業は社会生活の一部であったのです。

 

 旅行者や海外出張者の「夜の楽しみ」は、何も韓国だけの専売特許ではありません。東南アジア全般に見られ、外国支店赴任者の密かな余録にもなっていましたし、いわゆる「やるパック(旅行企画「JALパック」をもじった隠語)が社会問題となったこともありました。

 

 一方、韓国における性文化も少なからず「ソウルの夜」に勢いをつけました。韓国男性の相当数は「売春は社会生活の一部」と考えており、ソウル大学女性研究所の調査(2010年)によれば、売春経験者は49%であり、回春回数は平均8.2回を数えると報告し、別の調査では、男性の20%が20代に一月少なくとも4回、セックスに代価を支払い、35万8千人は毎日売春婦に通っているとしてます。

 また1989年、YMCAの調査では、売春女性の数は15~29歳の女性620万人の5分の1に当る120~150万人に登り、売春業の年間売上げは、韓国GNPの5%に当る4兆ウォンを超えると報告し、「売春は社会生活の一部」を裏付けます。注意したいのは、当時、それは日常なのであって、多くが無許可営業であったとはいえ、パチンコ店の両替ほどに社会も寛容であったということです。このような性商売の寛大さを少なからず日本人も羨望していました。

 

キーセン観光

 

 公娼制度は、売春産業を政府が公認するということですが、その中心は韓国伝統の妓女制度を虚飾したキーセンパーティでした。キーセンパーティとはキーセンハウス(料亭風の戸建て施設)で行なわれるキーセン同伴の会食や余興がセットとなった夜会のことです。 一般的に「夜の接待」とはこのキーセンパーティのことでした。70年80年代はキーセン商売の最盛期で、その圧倒的な上客は日本人(一説に拠れば客の9割が日本人)でした。「キーセン観光」なる単語も生まれたほどです。

 

 白状すれば、記者も一度キーセン接待を受けたことがありました。キーセンパーティは一連のスタイルがあり、以下、1988年、「新羅閣」という、(確か)鍾路三路(ソウル)にあったキーセンハウスで体験した「夜の接待」の記憶です。

 

  1. キーセンハウスに到着すると最初に大広間に案内され、客は片隅に鎮座する。
  2. ほどなく対面の入口より20人程のキーセンが民族衣装で登場。それぞれのポースで横列に居並ぶ。
  3. 招待客が職位順(この時は三名)に「お気に入り」を指名する。
  4. 「お気に入り」を伴い会食会場に移動。客の隣にお気に入りが立て膝姿(韓国女性の伝統的な着座姿勢)にて寄り添う。
  5. 銀座の高級クラブと同様、お酌やタバコの着火などプロ術の接待役を努めるが、ホステスと異なり、料理の箸運びがキーセンの重要な任務となる。つまり客は「食べたいもの」を告げるのみで、料理はキーセンの長い金属製の箸で口元まで運ばれる。
  6. 日本語は達者であるが、饒舌であったり、会話をリードするようなキーセンは少なく、控え目で受動的態度に徹する(そのように教育されているものと思われる)。
  7. 韓国料理のフルコースを味わいながら、民族楽器の演奏やピンクショーなどの余興が行なわれる。
  8. パーティが大詰めとなるとお気に入りをホテルに連れて行くか(持ち帰るか)を打診される。
  9. 「一緒に帰る」を選択すると私服に着替えたお気に入りと共に店が用意した車でホテルに戻る。ホテルはキーセン観光を熟知しており、帰館した宿泊者が女連れとなっていることに頓着しない(ただし契約キーセンではないフリー遊女の入館は拒否される)。
  10. 一般的には翌朝、ホテルで朝食を一緒した後、お気に入りとの別れとなる。

 

 キムさんと名乗る記者のお気に入りと深夜まで長話をしました。キーセンハウスでは言葉少ないキムさんでしたが、意気投合してからは様々な身の上話が止みません。

 キムさんの出身地である全羅南道ではまともな仕事が無く、工場に住み込み働いていたが、一人分の生活費も稼げず、相部屋の4人と即席麺一つを分け合って食べていた、全羅道は政府から差別を受けており、キーセンとなるのは全羅道出身者が多い、、、、

 そして最後に「日本人は親切だからいい」と零したのが心に残ったものです。

 

 当時の韓国ですから、日本以外となれば大方は米軍相手だったはずです。雇い主が駐米慰安婦業も兼務しているのであれば、彼女も断り切れないのだろうと想像すると憂鬱となります。自分がしたことを棚に上げた、とても思い上がった考え方です。

 

 売春天国といえば、不道徳な反社会行為を意味します。しかしそれが社会生活の一部となっていた当時の韓国では、(自慢できる天国ではなかったでしょうが)温泉天国的な気安さがありました。

 今となっては、セピア色の童話となってしまいましたが、外人も韓国人自身も多くがその享楽天国を享受していたのでした。

 

 そのような時代に日本軍従軍慰安婦問題の糾弾が始まったものですから、当初は勢いがありません。何せ今でも慰安婦のお世話になっているのですから。

 それが本格的に先鋭化してゆくのは、2004年売春が違法となり、駐米慰安婦のリアリティが社会から散逸してからのことです。

 

 リアリティがなくなると従軍慰安婦の大罪が空想的史実として増殖していったように思えます。今ではイアンフは、「民族的差別意識を原動力とし、抵抗する純情無垢な少女を辺りかまわず狩りだし、軍隊の性奴隷とした戦慄すべき国家犯罪である」がすっかり定着、これが絶対悪「日本」を不動なものとしてしまいました。

 

 戦時中の生証人はすっかり少なくなりました。しかし太平洋戦争の出征兵士であれば「ピー屋」と呼ばれた慰安婦サービスを知らないヒトはいないでしょう。その多くはサービスを利用したはずです。

 実際を知るヒトであれば、慰安婦は韓国人だけではなかった、ましてやホロコーストになぞられるような迫害や奴隷制の類ではなかったことは承知しているでしょう。

 

 文在寅政権は就任後、早々に「慰安婦を称える日」(8月14日)を制定しました。元慰安婦の一人が戦後初めて自分が日本軍慰安婦であったことを名乗り出たことを「称えた」記念日です。「破壊(島崎藤村)」の主人公瀬川丑松が「自分は差別部落出身者である」を告白するほどの勇気を政府が賞賛し、記念日としたのです。

 逆に言えば、元慰安婦が日陰者として社会的差別を受ける現実があったのでしょう。では誰が差別したのでしょうか。慰安婦問題は韓国国内問題でもあります。

 

 ところが慰安婦の全責任を日本のみに帰し、更には植民地時代の諸問題をなすがままに類焼させる猛勢に日本の市民意識も反発、ついには経済問題や国防連携にまで衝突をエスカーレーションする悪循環にどう対処すればいいのでしょうか。

 

 すでに絶対悪が韓国市民に半田付けされてしまっています。半田を除くには、耐えがたい高温で溶かす必要があります。あえて身を焦がす苦痛を受け入れるヒトなどいないでしょう。

 ヒョッとすると日本にも半田付いている偏執があるかもしれません。その場合にも同じ苦痛が避けられません。とどのつまり、日韓にわだかまる「イアンフ」の解決なしに真なる日韓の和解はありえないのです。

 

 しかしながら「イアンフ」の一言が、たちまち「ヘビの死骸」でも見たかのような悪寒を発症させ、条件反射的に「日本軍国主義の暴挙」「それを認めない許しがたい日本」が直結する一般的な韓国市民の半田心理を融解する方策など到底見つかりそうにもありません。

 

 もはや韓国の執着を一転させる術はないと断念した日本は、「断韓以外善策はない、」に傾きつつあります。絶望的です。

 

反日種族主義

 

 ところが、最近想定外のことがありました。韓国で、全く以て驚くべき現象が芽を吹いたのです。韓国で『反日種族主義』が大ヒットしたことです。

 今年7月10日、未来社(韓国)から出版されたこの一作は、一ヶ月にして10万部を販売、教保文庫(韓国の巨大書店)のベストセラーに踊り出ました。

 

 本書の代表著作者の李栄薫(イヨンフン:ソウル大学経済学名誉教授)は、「中国の非道には寛大でありながら、日本にたいしては直情的に反感をむき出しにする韓国市民」の一般心理を「反日種族主義」と命名し、そのメカニズムを史実を解明しながら論破してゆきます。

 

 未だ韓国語版しかなく、本書を日本人が閲読することはできないのですが、その中心的な主張はYouTubeの動画講座(李承晩TV講座)として公開されており、大方の動画には日本語字幕が付いていますので、内容を知ることができます。

 

 驚くべき論旨です。「竹島(独島)問題」、「日韓基本条約の真実」、「徴用工問題の本質」、韓国人であれば、信じて疑わない常識を次々にひっくり返してゆきます。即座に韓国のマスコミや政府関係者から猛烈な非難が湧出しましたが、現在でも書籍のヒットは続き、動画視聴数は拡大しています。

 

 李栄薫教授も「日韓歴史問題の地脈を覆うのは慰安婦問題である」と位置づけ、「イアンフ」とは何であったのかの解明が最優先とし、動画講座の冒頭を「日本軍慰安婦問題の真実(15話)」としてスタートさせています。

 

 教授は意外にも日本軍慰安婦問題を考える一連の動画講座の初回から第3話までを「朝鮮戦争韓国軍慰安婦」に充てています。朝鮮戦争にも慰安婦が存在したことを暴露することは韓国では御法度です。国賊に近い暴挙です。韓国=完全善(被害者)、日本=絶対悪(加害者)との基本式を根底から脅かしかねないからです。しかし「基本式が必ずしも当てはまらない」を見つめることは、日韓の国民感情に固着した半田を緩める第一歩に他なりません。

 

 日本軍の慰安婦問題は、第9話「日本軍の慰安婦」、第10話「有る慰安所の帳場人の日記」、第11話「楯師団の慰安婦、文玉珠」、第12「果たして、性奴隷だったのか」、第16話「日本軍慰安婦問題の真実(完)」などで生々しいその実体を追って行きます。

 

 結局のところ、教授は現存する資料や証言を総括し「日本軍慰安婦制度は、公娼制という後方部隊を前提に編制した前方部隊」であったことを肯定しました。つまり色町の公認女郎屋が前線部隊に出張商売したのがイアンフの実体であったとし、更に度合いでいえば、朝鮮戦争慰安婦の方がより過酷なのであり、史実究明と賠償が優先されるとまで論及しています。

 

 教授の主張は、韓国の常識からすれば許しがたいことでしょうし、一部には常識を裏付ける「戦争犯罪」もあったことでしょう。しかしイアンフの史実的な実体としては、当時、合法であった娼婦ビジネスの変種に留まるとのイメージは、戦後この問題が持ち上がった時点、キーセン観光に熱心だった日本人をはじめ少なくない韓国人が直観した慰安婦像に合致するものです。

 

 破廉恥なことを話すようですが、少なくとも80年代辺りまでキーセン観光はハワイで射撃ツアーに参加するほどの気安さがありましたし、「夜の接待がビジネスに有効」を知る韓国企業公然のオモテナシだったのです。

 

 「許せない」と信ずる向きからは、「日本の行為を正当化している」と写るでしょう。しかし歴史認識は「過去と現在の対話」から導かねばなりません。過去の声に耳をふさいでしまえば、歴史ではありません。性文化といえども時代時代の背景を抜きに現在の価値観で結論するのは無理があります。

 

 日韓対立の震源は、感情的心理的な面が強く、その本源たるイアンフを取り残し、仮にGSOMIAを小手先で政治決着したとしても、悪臭漂うヘビの死骸があるかぎり、偏執はいつでも復活します。

 

 「反日種族主義」が韓国で出版され、読者が増えていることは出口の見えない日韓衝突を解決する一光と思えます。とりあえず、日韓ともに反日種族主義の主張が事実であるかを論証するべきです。もし否定できないのであれば、史実を認定するべきです。期待値による歴史認識ではなく、両国の認定史実が共通認識へと昇華できるのであれば、あの時代「何が行なわれ」、「どう賠償するか」が一致します。

 

 韓国の知識人から、この一作が発表され韓国社会に発信されたことは、少なくとも日本にとっては、絶望的な対韓関係を何とかして動かす小さな希望です。

 

 

李承晩TV シリーズ講演       [日本軍慰安婦問題の真実]

 

第1話.  朝鮮戦争韓国軍慰安婦

https://www.youtube.com/watch?v=3wn1_4Nl8To&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=16

 

第2話. 1950-60年代の民間慰安婦

https://www.youtube.com/watch?v=Vu6TBamZCao&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=15 

 

第3話.  1950-60年代の米軍慰安婦

https://www.youtube.com/watch?v=QAG1mSbOZCg&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=14

 

第4話.  謝罪、妊娠、流産

https://www.youtube.com/watch?v=lx4IPaQtkQ4&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=13

 

 第5話. 朝鮮の妓生(ギセン)、別範疇の慰安婦

https://www.youtube.com/watch?v=iP3V57uCbrU&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=12

 

第6話.  公娼制の施行 ‐身分的性支配から商業的売春へ‐

https://www.youtube.com/watch?v=_e2GJ5A6Cnk&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=11

 

第7話.  人身売買、公娼への道

https://www.youtube.com/watch?v=42KRpJJqAPY&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=10

 

第8話.  売春業の域外進出

https://www.youtube.com/watch?v=2LQZPaeByY8&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=9

 

第9話.  日本軍慰安婦

https://www.youtube.com/watch?v=jt_1srirqsY&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=8

 

第10話. 或る慰安所の 帳場人の日記

https://www.youtube.com/watch?v=1fGampvrKGE&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=7

 

第11話. 楯師団の慰安婦、文玉珠

https://www.youtube.com/watch?v=3siNUCt4pXg&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=6

 

第12話. 果たして、性奴隷だったのか

https://www.youtube.com/watch?v=sU72sll-0lU&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=5

 

第13話. 解放後の40余年間、日本軍慰安婦問題はなかった

https://www.youtube.com/watch?v=aWIHTEbYi0k&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=4

 

第14話. 挺対協は、日本軍慰安婦問題をこのようにして大きくした

https://www.youtube.com/watch?v=FNggHEwN2KQ&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=3

 

第15話. 韓日関係が破綻するまで

https://www.youtube.com/watch?v=-mf3GM0bVm4&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=2

 

第16話. 日本軍慰安婦問題の真実(完)

https://www.youtube.com/watch?v=noxr_wVIcao&list=PLZZEZygYteL7BoDuFV2drZ7UESL2lfaDC&index=1

 

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反日種族主義」李栄薫他著 2019年7月10日刊

 

 

(ソウル通信)